『大日本年表』の解体による書籍造本の観察


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2016-09-28 リンク先訂正


名著 辻善之助 『大日本年表』 表表紙

辻善之助 『大日本年表』 表表紙


背表紙

辻善之助 『大日本年表』 背表紙


辻善之助 『大日本年表』 地


ノド 丸背であることがわかる。

辻善之助 『大日本年表』 ノド


表紙をバラしてみる。丸背だね。

辻善之助 『大日本年表』表紙をバラしてみる。


拡大して見ると、薄い紙を貼ってノドの形状を整えていることがわかる。

昔の職人の丁寧な仕事。

昔の職人の丁寧な仕事


糊はゴム系のようだ。ハナギレも丁寧に貼ってある。

糊はゴム系


小口側。丸背だと小口も丸く仕上げる。

小口側


奥書と遊び紙とは貼り合わせ。ここだけ見ると胡蝶装っぽい。

表紙見返しのノド側が補強されている所にも注目。
 

遊び紙


綴じ糸が見える部分

綴じ糸


綴じ糸が見える部分のページ番号を確認しましょう。

ページ番号を確認1

ページ番号を確認2


次の綴じ糸が見える部分はここです。ページ番号を確認しましょう。

一折が、何ページ単位で印刷されているか、計算してみましょう。

ページ番号を確認3

ページ番号を確認4


ノドをよく見ると、造本作業用の印刷が見えることがあります。

ノドをよく見る1

ノドをよく見る2


内表紙。これは貼り合わせです。

内表紙1

内表紙2


折りの境目

折りの境目1

折りの境目2

折りの境目3


造本当初から、糊付けして補強しているようですよ。

糊付けして補強1

糊付けして補強2

糊付けして補強3


奥書です。

辻先生の著者検印は、花押なんですね…。

戦中の書物ですが、昭和十八頃までは比較的、物資は枯渇していなかったようです。

書物の性質上、物資の優先割当も受けたのだろう、という見方もありますが…。

岩波文庫などで比較するとハッキリわかりますが、昭和十八年までは結構、良い紙です。

ところが、昭和十九年に入ると、紙に藁が透き込まれるようになります。

また、表紙はスフ(人造絹糸、今で言うレーヨン)製に変貌します。

東方文化研究所研究報告第18冊として出された、平岡武夫著『經書の成立―支那精神史序説』(全國書房, 1946.1)が、スフ製の表紙の具体例です。

の図書館で持っています。機会があれば、実際に見てみると良いでしょう。

奥書


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